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Haggai

ハガイ

エルサレムは586 BCにバビロンによって滅ぼされ、神殿は破壊され、多くのユダヤ人が捕虜として囚われた。その50年後ペルシア帝国がバビロンを滅ぼし、翌年の538 BCにユダヤ人を開放し、エルサレムで神殿を再建することが許された。エルサレムに戻ったユダヤ人の中にハガイとザカリヤがいた。この二人の行いはエズラ5:1-2に記されている。

1 さて預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤのふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に向かって、彼らの上にいますイスラエルの神の名によって預言した。2 そこでシャルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子エシュアは立ちあがって、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも、彼らと共にいて彼らを助けた。

ハガイは4つの神からのメッセージで構成されていて、最初 (1章)と3つ目 (2:10-19)のメッセージと、2つ目 (2:1-9) と4つ目 (2:20-23)のメッセージが対になっている。

1:4 「主の家はこのように荒れはてているのに、あなたがたは、みずから板で張った家に住んでいる時であろうか。5 それで今、万軍の主はこう言われる、あなたがたは自分のなすべきことをよく考えるがよい。6 あなたがたは多くまいても、取入れは少なく、食べても、飽きることはない。飲んでも、満たされない。着ても、暖まらない。賃銀を得ても、これを破れた袋に入れているようなものである。

最初のメッセージでは、人々は神殿をないがしろにして生活を良くしようとしているので、いつまでも満足できないと指摘している。いくら働いても、食べても、飲んでも、衣類をまとっても、キリストの体の働きをないがしろにすれば、いつまでも満足しない。神の栄光のために働かず、この世の快楽だけを求めて働くのは、常に欲求不満がまとわりつく。

8 山に登り、木を持ってきて主の家を建てよ。そうすればわたしはこれを喜び、かつ栄光のうちに現れると主は言われる。

この不満の解決法は、神の栄光に焦点を当てること。旧約聖書の神殿は神の栄光のために存在した。今日において、教会は神の栄光のために存在する (エペソ1:6, 12, 14)。教会の霊的な状態と成長をないがしろにすることは、神の栄光に焦点を当てていないことを示している。

2:14 そこで、ハガイは言った、「主は言われる、この民も、この国も、わたしの前では、そのようである。またその手のわざもそのようである。その所で彼らのささげるものは、汚れたものである。

2:10-19の3つ目のメッセージによると、神殿の工事がなかなか進んでいない事が読み取れる。理由は、人々は罪の中に生きているから。神に従って神殿の工事を行っても、罪のせいでその仕事は祝福されていない。これに対してハガイは人々に、神殿の工事を始める前の、虚しい、満たされていない状態を思い出すよう促す (2:15-17)。また、神に従って神殿の工事を始め、祝福されたことを考えるように促した (2:18-19)。神はこれからも祝福し続けたい。なので、その祝福を受け続けるためにも生活を見直し、罪を悔い改め、神殿の工事を続けていくように促している。

1つ目と3つ目のメッセージは、ユダヤ人に神殿を再建するように促した。神に従う前は満たされない状態だったが、工事を続けて罪の生活を悔い改めれば、神は必ず祝福してくださる。すべては物理的な建物ではなく、神の栄光のため。

2:3 『あなたがた残りの者のうち、以前の栄光に輝く主の家を見た者はだれか。あなたがたは今、この状態をどう思うか。これはあなたがたの目には、無にひとしいではないか。

2:1-9の2つ目のメッセージに戻ると、神殿の工事が完全に止まっていた事がわかる。理由は、過去の栄光を思い起こしていたから。70年前の神殿はソロモンの傑作で、数百年にわたって神礼拝の中心だった。今やっている工事は、いくら頑張ってもソロモンの神殿と同等のものは作れない。そのレベルに達することができないなら建て直さず、思い出に残す方がマシ。

キリストのために働く人も同じ思いをすることがあるだろう。いくら働いてもみすぼらしく感じる。毎週、毎月頑張るが、収穫がとても小さい。歴史を見返したり、周りを見渡すと大きな成功を治めている人がいる。それに比べて自分の働きはほとんど成果がない。気落ちしてしまって、諦めてしまいたい。

2:4 主は言われる、ゼルバベルよ、勇気を出せ。ヨザダクの子、大祭司ヨシュアよ、勇気を出せ。主は言われる。この地のすべての民よ、勇気を出せ。働け。わたしはあなたがたと共にいると、万軍の主は言われる。

神は働きの結果について違った視点をもっている。神殿の工事は意味のないことではない。「勇気を出せ。働け」と励ますと同時に、2つの励ましを与えてくださっている。

1つ目の励ましは、神は常に働く者と共にいること (2:4-5)。心を励ましてくださる (1:13)。かつてイスラエルに約束した神は今日も同じ神 (2:5)。そしてソロモンが神殿を建てたときに励ました神が、同じように私たちを励ましている (1歴代志28:20)。

2つ目の励ましは、働きの結果は見える範囲にとどまらないこと (2:6-9)。神は働きをご自身の栄光で満たし、思い描ける以上に結果を伴うようにしてくださる。この神の業に信頼し、恐れず働くことができる。

実際に神殿の再建は、キリストが活動を初めたころには素晴らしい建造物になっていた。AD70にこの神殿も破壊されたが、建物でなくキリストを通して私たちは神と交わることができるようになる。一部の神学者は、キリストが1000年間地上を治めるときに、エルサレムに神殿が建てられると解釈している。そして、世の終わりには神ご自身が神殿となるので建物は必要なくなる (黙示録21:22)。

神は小さな不完全なものを、ご自信の栄光のために住処として築かれるのです。ああ、私たちは自分の小さな影響力の領域で、どれほど勇気を持つべきなのでしょう。

このブログはジョン・パイパーの記事を引用している。
https://www.desiringgod.org/messages/take-courage-you-build-more-than-you-see